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二年間の変わりようを卒業の前に振り返ってほしい製菓専門学校の在学者への呼びかけ

入学したばかりの自分の姿を思い出してほしい

卒業の日が近づいてきたら、入学したばかりの自分の姿を、いちど丁寧に思い出してみてください。白衣の袖に手を通すことさえぎこちなかった最初の朝の光景が、きっと鮮やかによみがえってくるはずです。

最初の実習で、粉をふるう手つきがそろわず、隣の音ばかりを気にしていた時期があったはずです。あの頃の落ち着かなさを覚えているからこそ、いまの手元に宿った静かさのありがたさに気づけます。

道具の名前を覚えるだけで一日が終わり、帳面が文字で埋まっていった日々も思い返してください。書き取るだけで精一杯だった当時の記録が、いまでは自分の言葉でしっかり整えられているはずです。

教室に並ぶ同級生の顔ぶれも、最初のうちはまったくの他人であったことを思い出してみてください。声をかけ合いながら班を回している今の関係は、二年という時間をかけて少しずつ築いたものです。

初めて焼き上げたお菓子の姿を、手元に残してある写真や記録の中から探してみるのもよい方法です。焦げの色や縁の乱れを見返せば、当時の自分がどの工程で苦労していたのかが、はっきりと見えてきます。

講師に質問することさえためらっていた時期があったことも、どうか忘れずに数え上げておいてください。いま自然に手が挙がるようになったのは、尋ねる力そのものが確かに育ってきた証拠にほかなりません。

朝の早い生活に体が慣れず、帰り道で眠気と戦っていた日々も、初めの頃にはきっとあったはずです。日々の繰り返しの中で、体そのものが立ち仕事の長さに耐える形へと静かに作り変えられてきました。

変わりようを振り返るという作業は、自慢のためではなく、次の一歩を決めるために行うものだといえます。どこがどう変わったのかを自分の言葉にできる人は、面接の場でも落ち着いて話すことができます。

手元と目線がどう変わったのかを数えてほしい

変化を確かめるときには、感覚で語るのではなく、具体的な場面を挙げて数えるようにしてください。混ぜる速さ、温度の見極め、飾りつけの手順というように、項目を分けていくと違いがよく見えます。

生地の状態を目と手で判断できるようになったことは、大きな変化として数えてよい部分になります。決められた時間に頼るだけでなく、その日の様子を見ながら加減できる力が確かに身についています。

焼き上がりの色を見て、次にどこを直すべきかを考えられるようになった点も、見逃せない変化です。失敗をその日の落ち込みだけで終わらせず、次に生かす材料へと変えていく習慣が定着した証拠です。

作業の順序を自分の頭で組み立てられるようになったかどうかも、この機会に確かめてみてください。指示を待つだけの立場から、先の工程を見越して自分から動く立場へと、静かに移ってきているはずです。

衛生の所作が意識しなくてもできるようになったことも、静かではありますが重要な変化にあたります。手を洗う回数や台を拭く動きが体に染みついていれば、現場に出てからも十分に通用してくれます。

味を言葉にする力が育ったかどうかも、これまで書きためた記録を読み返して確かめてみてください。甘さや香りを具体的な言葉で言い表せる人は、指導を受けたときの理解も自然と早くなっていきます。

パティシエとして働く姿を思い描くときの細かさも、この二年のあいだに大きく変わってきたはずです。漠然としていた憧れが、働き方や進みたい分野の希望という、より具体的な形へと変わってきています。

数え上げた変化は、紙に書き出して手元に残しておくことを、ぜひ強くおすすめしたいところです。言葉にして並べておけば、後になって迷いが生まれたときに、何度でも立ち返れる場所になってくれます。

変わらなかったものを確かめて次へ進んでほしい

変化を数え終えたら、今度は変わらなかったものにも、あらためて静かに目を向けてみてください。入学のきっかけになった気持ちが、いまも胸の同じ場所にあるかどうかを確かめる作業になります。

誰かに食べてもらいたいという思いは、多くの人にとって、いまも変わらないまま残っているはずです。その思いが胸に残っているかぎり、技術というものは後からいくらでも積み上げることができます。

甘い香りに心が動く感覚も、二年を経てなお残っているのなら、それは確かな支えになってくれます。忙しさの中で薄れてしまったと感じるのなら、少し休んで感覚を取り戻すための時間を作ってください。

苦手な工程がいまも残っていることを、恥ずかしいことだと感じる必要はまったくないといえます。どこが苦手なのかを自分の言葉にできること自体が、この二年で育った力の一つだと考えてください。

支えてくれた家族や身近な人にも、この二年の変わりようを自分の言葉で伝える機会を作ってください。学びの中身を知ってもらうことは、これから始まる働き方への理解にも静かにつながっていきます。

同級生と互いの変化を話し合う時間も、卒業の日を迎える前にぜひ持っておきたいもののひとつです。他人の目を通して見た自分の成長には、自分ではなかなか気づけない部分が数多く含まれています。

製菓専門学校で過ごした二年は、技術だけでなく、続ける力そのものを育てた期間でもあったはずです。この力は現場に出てからの日々を支えてくれる、目には見えない確かな土台になっていくはずです。

振り返りを終えたら、次に何を伸ばしていくのかを一つだけ決めたうえで、卒業の日を迎えてください。目標が一つはっきりしているだけで、最初の職場で過ごす日々に生まれる迷いはぐっと少なくなります。

まとめ

卒業を前にした時期には、入学したばかりの自分の姿を丁寧に思い出し、二年の変わりようを自分の言葉で並べてみてください。ぎこちなかった手つきや、質問さえためらっていた日々を覚えているからこそ、いまの落ち着きに気づくことができます。

変化を数えるときには、感覚で語るのではなく、混ぜる速さや温度の見極めといった具体的な場面を挙げて確かめる形が向いています。生地の様子を見て加減できる力や、失敗を次の材料へ変える習慣は、確かに育った変化として数えてよいものです。

数え上げた変化を紙に書き出して残しておけば、迷いが生まれたときに立ち返る場所となり、面接でも落ち着いて話せます。作業の順序を自分で組み立てられるようになった点も、指示を待つ立場から抜け出したことを示す確かな証拠です。

変わったものを確かめたあとには、変わらなかったものにも目を向け、入学のきっかけになった気持ちを見てください。誰かに食べてもらいたいという思いが胸に残っているかぎり、技術は後からいくらでも積み上げることができます。

製菓専門学校で過ごした二年は、お菓子を作る技術だけでなく、続ける力そのものを育ててくれた期間でもあったはずです。次に何を伸ばすのかを一つだけ決めて卒業の日を迎えれば、パティシエとしての最初の日々に迷いが少なくなります。