製菓専門学校での学びの締めくくりには、卒業の作品を仕上げるという、大きな山が待ち構えています。この山への向き合い方は大きく二つに分かれており、どちらを選ぶかで日々の過ごし方も変わります。
一方は、できるだけ早い時期に題材を決めてしまい、そこから手を動かしはじめるという進め方です。もう一方は、直前まで迷いながら考えを練り、機が熟してから一気に形にしていく進め方になります。
早くから動きはじめる人の強みは、試作を重ねる回数を十分に確保できるという点にあると言えます。何度も作り直せる時間があれば、細部を詰めていく余裕も生まれ、仕上がりは安定していくものです。
その一方で、早く決めすぎてしまうと、後から浮かんだよい発想を生かしにくくなる面もあります。決めた道を進むうちに、本当に作りたかったものが別にあったと気づく人も、実際には少なくありません。
迷い続ける人の強みは、学びの終盤で得たばかりの技を、そのまま作品へ反映できるところにあります。最後の実習で身につけたばかりの工程を取り入れられれば、作品の完成度は確かに高まっていきます。
ただし迷う時間が長くなればなるほど、試作に充てられる期間は、確実に短くなっていくことになります。限られた日数で仕上げる緊張感は、時に力を引き出してくれますが、同時に危うさも抱えています。
どちらの進め方が優れているのかを一つに決めることはできないというのが、正直な実際のところです。大切なのは、自分がどちらの型に近いのかを知り、その弱点を補う工夫を持っておくことになります。
早く決める人は、途中で見直すための機会を、あらかじめ予定の中に組み込んでおくとよいでしょう。迷いやすい人は、いつまでに決めるという期限だけを先に定めておけば、進みは大きく変わります。
題材をどう決めるのかという点についても、大きく二つの考え方が並び立っているように思えます。自分の得意な工程を軸に据えるという考え方と、挑みたい工程を軸に据える考え方の二つになります。
得意を軸に据えれば、仕上がりの水準は読みやすくなり、当日の不安もずいぶん小さくなっていきます。確実に形にできるという安心感は、限られた期間の中においては、大きな値打ちを持つことになります。
挑戦を軸に据えれば、伸びしろは大きくなりますが、仕上がりの読みにくさも抱えることになります。うまくいけば大きく評価されますが、間に合わないかもしれないという危うさも同時に背負います。
実際のところは、この二つを組み合わせるという形を選ぶ人が、最も多いように見受けられています。土台は得意な工程で固めておき、一部分にだけ新しい挑戦を入れるという、組み立て方になります。
お菓子の題材を選ぶ際には、誰に食べてもらいたいのかを考えてみると、輪郭は自然と定まってきます。食べる人の顔を思い浮かべることによって、味の方向も飾りの加減も、自然と決まっていくものです。
先生へ早い段階で相談しておくということは、どちらの型を選ぶ人にとっても、有効な手立てになります。実現できるかどうかの見立てを聞ければ、進む道も引き返す道も、選びやすくなっていくはずです。
同級生がどのような題材を選ぶのかに気を配っておくことも、忘れずにおきたい点のひとつになります。似た題材がいくつも並んでしまうと、比べられる場面が増えていき、持ち味も伝わりにくくなります。
どちらの考え方を選ぶにせよ、決めた理由を言葉にしておくことが、後々の支えになってくれます。途中で迷いが戻ってきたときには、その言葉こそが、自分を前へ押し出してくれることになります。
取りかかるまでの時間をどのように使うのかという点でも、人の進め方は大きく分かれていきます。手を動かしながら考えていく人と、机の上で構想を練りきってから動く人とに、分かれていくのです。
手を動かす側の利点は、思い描いた形と実際の仕上がりとの差に、早い段階で気づけるという点です。紙の上では美しく見えていた案が、実際に作ってみると崩れてしまうことは、決して珍しくありません。
構想を練る側の利点は、材料と手間の見通しを先に立てておけるという、その一点にあると言えます。無駄な試作を減らすことができるため、費用の面での負担が軽くなるという良さも併せ持っています。
どちらの型であったとしても、締め切りから逆算して予定を引いておく準備は欠かせないものです。材料の手配や道具の確保については、思っている以上の日数がかかることが、多いものだからです。
パティシエとして働く現場においても、決められた期日までに形にする力は、必ず求められています。卒業の作品に取り組むという時間は、その力を試すための、最初の機会になっているとも言えます。
行き詰まってしまったときには、一度その場を離れて休むという選択も、確かに有効になってきます。頭を切り替えてから戻ってくると、見えていなかった道筋が、急に浮かんでくることもあるものです。
同級生と進み具合を互いに伝え合うということも、取りかかるまでの時期には大いに助けになります。自分だけが遅れているのだと思い込んでしまう状態から、抜け出すきっかけになってくれるからです。
早く動く人と迷い続ける人という違いは、優劣ではなく、性質の違いにすぎないのだと言えるでしょう。自分の型を知ったうえで足りない部分を補っていければ、作品は必ず、確かな形になっていくはずです。
卒業の作品への向き合い方は、早くから決めて動く人と、直前まで迷いながら考えを練る人とに大きく分かれます。どちらが優れているというものではなく、それぞれに強みと弱みがあるのだと理解しておくことが大切になります。
早く動く人は試作の回数を確保できる一方で、終盤に得た技を生かしにくいという面を、抱えることになります。迷う人は最後の学びを取り込める代わりに、仕上げに使える日数が短くなるという危うさを、そのまま背負っています。
題材の決め方についても、得意を軸に据える考え方と挑戦を軸に据える考え方という、二つが並び立っています。土台を得意な工程で固めつつ一部分にだけ挑戦を入れる組み立てであれば、双方の良さを取り込むことができます。
取りかかるまでの時間の使い方も、手を動かしながら考える人と構想を練りきってから動く人とで分かれていきます。いずれの型であったとしても、締め切りから逆算して予定を引いておくという準備だけは欠かすことができません。
自分がどちらの型に近いのかを知り、その弱点を補う工夫を持てば、迷いは前へ進むための力へと変わっていきます。決めた理由を言葉にして残しておくことが、最後まで作品を支えてくれる、静かな土台になってくれるはずです。